織守きょうやの「記憶屋」シリーズの最新作です。
「記憶屋」シリーズの第1作である「記憶屋」は、平成28年に角川ホラー文庫から出版され、第22回日本ホラー大賞の読者賞を受賞しました。
ホラーと言っても血がドバドバ飛び散るようなスプラッタ的な要素はまったくなく、また人が殺されたり、幽霊や妖怪がでてくることもありません。
とても、ソフトで切なく泣ける優しいホラー小説なので、怖い話が苦手な方にもお薦めです。
さて、シリーズ4作目となる「記憶屋0」
ふたつのエピソードが語られますが、やはり優しく切ない思わずほろっと涙ぐむような、物語です。
なぜ、「記憶屋4」ではなく、「記憶屋0」なのかは、ふたつの物語を挟む真紀と遼一の短いエピソードでわかる様になっています。
基本的に「記憶屋」のシリーズは、独立したエピソードになっているので、初めての方がこの「記憶屋0」から読んでも、大丈夫だと思います。
ただ、記憶屋の正体が誰なのかを含めた人間関係や、記憶屋の系譜を理解しながら読んだ方が、格段におもしろさが増すので、「記憶屋0」を読んで、おもしろかった!!という方は、是非、記憶屋の前3作を順番に読んでみてください。
「記憶屋0」までの4作とも文庫で、200ページから300ページくらいの中編ですから、とても読みやすいですし、前述したように、血が飛び散ったり人が死んだり、怖い幽霊や怪物も出てこないので、ふだんホラーが苦手だという人にもお薦めですね。
来年(2020年)1月17日公開の「記憶屋 あなたを忘れない」も楽しみですね。
織守きょうやさんには、他に「霊感検定」シリーズがあり、こちらもとても優しく切なく泣ける傑作ですので、次の機会にご紹介します。
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