ペット・セマタリー スティーブン・キング著(文春文庫)

ペット・セマタリー表紙 ホラー

シャイニングの続編、「ドクター・スリープ」の映画がヒットしていますね。MARCYはまだ見てませんが、ジャック・ニコルソン主演の映画「シャイニング」は、とても好きな映画です。また、キューブリックの映画が気に入らなかった原作者スティーブン・キングが、自ら撮りなおしたことでも有名です。このあたりの事情は、MARCYが以前、別のサイトで書いた「シャイニング」の記事が参考になるかもしれませんので、興味のあるかたはどうぞ。

さて、今回はシャイニングに匹敵するスティーブン・キングの傑作ホラー小説「ペット・セマタリー」を紹介します。実は、「ペット・セマタリー」も来年2020年の1月17日に映画が公開されるんですね。(映画名は「ペット・セメタリー」)ここのところちょっとしたスティーブン・キングの ブームと言ってもいいかもしれません。

スティーブン・キングはかなりの多作家で、これも映画化された「スタンド・バイ・ミー」のような青春小説や「バトル・ランナー」のようなSF小説もありますが、やはり何と言ってもホラー小説作家として有名です。MARCYはキングの小説はかなり読んでいます。とくにホラー小説は夢中になって読んだ時期がありました。

キングのホラー小説を最初に読んだのは、おそらく高校生のころの「死のロングウォーク」だったと思います。そこから「痩せゆく男」、「呪われた町」「シャイニング」「キャリー」などの長編をはじめ数多くの短編集を読んだ中で、「ペット・セマタリー」はMARCYのベスト1であることはまちがいありません。キングのホラー小説のベスト1ですから、つまりいちばん恐いということですよ。

事実、映画のキャッチコピーでも

執筆当時、あまりの恐ろしさに出版が見送られた

とキング自身が語ったという表現があります(これは正確には微妙に違う事情のようで、翻訳者の深町真理子さんが解説で謎解きをしてくれていますよ)。繰り返しになりますが、MARCYもキングのホラー小説の中でいちばん怖いと思っています。キングのホラー小説は怖いですけれども、根底にあるテーマは”愛”であることが多いですよね。

例えば「シャイニング」ではオーバールックホテルに取り込まれ、妻と息子を殺そうとしたジャックは、最後には妻と息子を助けるためにホテルの呪縛を逃れ自らが犠牲になります。(キューブリックの映画では違いますが)

「ペット・セマタリー」もやはりテーマは”愛”であることはまちがいありません。主人公のルースの妻や子供たちへの愛情がせつないほどに描かれます。最愛の息子ゲージを事故で失ったルースが、呪われた土地の魔力に取りつかれ、彼の愛情が少しずつボタンの掛け違いのようにずれていき、静かな狂気にむしばまれていく様が、たまらなく怖いんです。

ネタバレは避けたいので詳しくは書きませんが、「ペット・セマタリー」は死者がよみがえる物語です。そしてそれは呪われた土地の魔力で起こる現象で、よみがえった死者は呪われた存在になるのです。それでも死者のよみがえりを願う深い愛を描くのが「ペット・セマタリー」です。「シャイニング」と違うのは、「ペット・セマタリー」にはまったく救いはないということです。結末は非常に後味が悪いものですし、登場人物たちも悲劇的な最期を迎えます。同じ死者のよみがえりがテーマでもこの間紹介した梶尾真治さんの「黄泉がえり」とは正反対ですね。

それでもMARCYは「ペット・セマタリー」という小説が大好きです。なぜならばこの絶望的な悲劇は、主人公ルースの妻や子供たちへの狂おしいほどの愛情から起こる出来事だからです。胸が悪くなるような表現もいくつかありますが、それですら、ルースの哀しくもせつない感情を思うと、涙が出てきます。

さて今回で「ペット・セマタリー」は2回目の映画化になります。そして原作と若干設定が違うようですね。いずれにしろ公開が楽しみですが、原作未読の方は読んでから映画を見るとまたいっそう楽しみが増すかもしれませんよ。深町真理子さんの翻訳も名訳ですので、MARCYのお薦めです。

また、1989年に公開された最初の映画化作品は、アマゾン・プライムで見ることが出来ます。キング自身が脚本を書き、彼が熱狂的なファンであったラモーンズの主題歌も話題になりました。こちらも興味のある方はどうぞ。

 

 

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