霊感検定 織守きょうや著(講談社文庫)

霊感検定表紙 ホラー

以前に1月17日に公開される映画「記憶屋 あなたを忘れない」の原作「記憶屋」を紹介しましたが、今日は織守きょうやさんのもうひとつのベストセラー、「霊感検定」を紹介します。

霊感検定も記憶屋どうよう、優しいタッチのホラー小説で、文庫の帯には、”泣ける、癒し系青春ホラー」とキャッチコピーが付いています。やはりプロのコピーは凄いなとMARCYは感心してしまいました。

物語は大阪から東京の私立九条高校に転校してきた、藤本修司がアルバイトの帰りの夜に、不思議な少女、羽鳥空と出会う場面から始まります。のちに九条高校の同じクラスの同級生であることがわかるのですが、羽鳥空は霊と話をできるとても強い霊感を持つ少女だったのです。

そして空の所属する通称「霊研」九条高校心霊現象研究会の顧問、馬渡先生(実は教員ではなく図書館司書)と空を取り巻く、程度の差はあれ霊感を持つメンバーたちが経験する心霊現象を中心に物語は進んいくのでした。

馬渡先生は、実は自分自身には霊感がほとんどなく、霊研でのミッションとして「霊感検定」を考案し、この検定の精度をあげていく事に熱心に取り組んでいます。空は霊研準一級、空に寄り添い彼女を庇護する伐晴臣が2級、むりやり入会させられた藤本修司は3級でした。

空は霊の言葉が聞こえると、霊の要求を満たしてあげるように努力をする優しい性格です。修司が霊研の部室である図書準備室に顔を出した時も、生きているときに読みたかった本に心を残している霊のために、じっとページをめくってあげていたのでした。

修司自身は、空ほどではないにせよ、霊の存在を身近に感じることも多い霊感の持ち主ですが、できれば霊との遭遇、ましてや接触などは極力さけたいタイプの男の子。まあ、当たり前の反応ですよね。そんな修司ですが、空に心を惹かれるようになるにつれ霊研のメンバーとして、いやおうなしに心霊現象に遭遇し、巻き込まれていってしまうんですね。

この巻の主要なエピソードは、男の子とデートをしたことが無い女子高生の霊を成仏させるために、霊研のメンバーが総力をあげて彼女の霊とデートをする話です。このエピソードは泣けますよ。とくに彼氏役を務めた霊研メンバーの筒井君(彼の霊研メンバーとしてのユニークさは特筆もの)と女子高生霊のユカの最後の会話は落涙必至の名場面です。

そして巻の最後では、霊感のほとんどない馬渡先生が、なぜとても熱心に心霊現象の研究に取り組むのか、その秘密も明かされます。それは霊研のあるメンバーに密接に関連する秘密でした。このシーンもほろりときてしまいます。

織守きょうやさんは、現役の弁護士と作家活動を並行して行ってるそうですが、「記憶屋」シリーズにしろ、この霊感検定にしろ、平易な文章でありながら心をゆさぶる物語の名手だと思います。霊感検定は、2作目として「霊感検定 心霊アイドルの憂鬱」も出ていますが、こちらも涙腺がやぶれること必至の名作です。

「記憶屋」シリーズにも劣らない優しいホラーの名作「霊感検定」2作目である「霊感検定 心霊アイドルの憂鬱」もあわせてどうぞ。キンドル版もありますよ。MARCYのお薦めです。

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