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テーマ型自分史として その5
こんばんわMARCYです。MARCYの自分史BLOG第12回は、「MARCY映画をつくる その5」と題して進めていきます。前回でロケのお話をしました。今回は主にポストプロダクションについての話になります。
映画をつくる過程は、大きく分けて3つです。
- プリプロダクション
- プロダクション
- ポストプロダクション
と、わかれるんですが、1のプリプロダクション(プリプロと略したりします)は、企画段階から資金調達までのことを言います。つまり、こんな映画をつくろうという企画をたてて、スポンサーを集め、監督が決まり、スタッフが決まり、そしてキャスティングが決まります。
2のプロダクションが撮影期間、つまりクランクインしてクランクアップするまでの期間のことですね。前回お話ししたのがこのプロダクションの期間です。
そして3のポストプロダクションは、撮影された映像素材を編集し、音(BGMや効果音など)を入れる、CG等の特殊効果を入れる、あるいは合成作業などのさまざまな後処理を経て、映画のデータ形式であるDCPとして完成するまでの作業工程のことをいいます。
このポストプロダクションが、またすんなりいきませんでした。それもこれもMARCYの未熟さ、無謀さが理由なので、まあ言ってみれば自業自得なんですけどね。自分史の作成をしてみて、初めて気づく。ほんとに自分史って誰もが取り組むべき作業だと痛感します。
MARCYはこの自分史BLOGの回を重ねるごとに、過去の自分の愚かさや情けなさが手に取るように見えてきました。でも、決して絶望したりすることはありません。かえって未来に向かって前向きに生きようという意欲がわいてくるんです、これ、ほんとですよ。
さて今回のアイキャッチ写真は、船上でのロケシーンです。9月と言えば沖縄はまだまだ灼熱の季節。スタッフもキャストも熱中症寸前でふらふらになりながらの過酷な撮影。映画って好きじゃなきゃできない商売です。みんな映画がやりたくてしょうがないんですね。
さて、それでは「神人~ザンの末裔~」のポストプロダクションについてお話ししましょうか。
ポストプロダクション
ポストプロダクションにも、いろいろな工程がありますが、順をおって説明していきます。
荒編(粗編)・オフライン編集
最初に映像をつないでいく編集作業を行います。ハリウッドや邦画でも規模の大きい映画では、エディターという専門職が編集する場合もありますが、普通は監督が編集作業を行います。
最初に行うこの編集作業は、荒編あるいはオフライン編集と呼ばれる作業です。同録(同時録音、カメラを回しながら同時に音声も収録すること)された音声だけは入りますが、BGMや効果音、また合成やCGを使った特殊効果などがない、撮影した映像だけの編集です。
オフライン編集では、監督が自分の演出意図に沿ったカットを選択して、物語がきちんと理解できるように繋いでいきます。もちろん、理解できるだけではなく、いかに見せるかが勝負で、監督の個性やセンスを最大限に発揮できる作業です。
オフライン編集は、試写をしながら何回か繰り返します。つまり、監督とメインスタッフがいっしょに映像を見ながら、ブラッシュアップしていくのです。特に何回までと決まった回数があるわけではありません。納得するまで何度でも繰り返していきます。
監督とプロデューサーを含むメインスタッフが、OKしてオフライン編集は終了です。
その後の作業
オフライン編集が終わると映画の尺(時間)が、決まります。この状態でピクチャーロックを行います。つまり、VFX(特殊効果)や効果音、BGMなどの作業を進行するために、これ以降は編集した映像を変更することは基本的にしません。
すべての作業はピクチャーロックで決まった各カットの尺にあわせて行われます。では、オフライン編集の後に行われる作業について簡単に説明しますね。
VFX
CG映像の作成や合成作業など特殊効果に関わる作業をVFXと言います。例えば合成作業の場合、今でも主流はグリーンバックのスタジオで撮影した人物に、実写やCGでつくった背景映像を合わせていく手法です。
下の写真をご覧ください。グリーンバックの前でヒロインのミナ役の美里ちゃんが祈っています。周りではスタッフが扇風機を使ってミナの髪が、逆立つように頑張っていますね。これはどんなシーンになるかわかりますか?
実際の映画では下のスクショのようになります。
そう、海の中のシーンなんですね。これが合成と呼ばれる作業です。グリーンバックで撮影した人物だけを切り抜いて、別の背景映像と張り合わせるわけです。近年は、ノンブルバック撮影(グリーンバックを使わない撮影)の映像をきれいに切抜く優秀なソフトもあります。
しかし、コストやその他の要因もあって、まだまだグリーンバックでの撮影が主流です。MARCYも「神人~ザンの末裔~」をつくっている段階では、ノンブルバック撮影でもOKなソフトは知りませんでしたしね。
VFX作業にはこの他にCG映像の作成などがあります。ほんらいならここでCG作業について話すべきなのですが、じつはこの作業が後々、「神人~ザンの末裔~」完成が大きく遅れるひとつの要因になりますので後にまわします。
カラーグレーディング
色の調整のことです。撮影時の天候や合成作業によって、ばらつきのある色味を監督の演出意図に沿って、調整して行く作業です。デジタル映像のカラーグレーディングは、とても繊細な作業で、腕の良い技術者は数が少なくまた作業費も高額になります。
ポストプロダクション作業は製作委員会メンバーのビデオテック社に一任です。ビデオテック社は、JVCケンウッドの子会社で3Dや4Kの最先端映像技術を持った会社です。MARCYは彼らを全面的に信頼していましたし、彼らもきつい制作費にも関わらずがんばってくれました。
そして、監督の演出意図に忠実な、ダークファンタジーにふさわしい色合いに仕上げてもらいました。
音の作業
映画を仕上げるには、音に関する作業もたくさんあります。キャストのセリフは、撮影と同時に録音する同録もあれば、撮影の後に録音するいわゆるアフレコ(アフターレコーディングの略)もあります。
また、効果音やもちろん音楽をつくっていく作業などもありますね。「神人~ザンの末裔~」では、千葉真一さんと小橋川よしとさんのアフレコ作業を行いました。また録音部では効果音をつくってもらい、オリジナルの映画音楽もつくりました。
こうしてピクチャーロックの後に様々な作業が進行していくのですが、すべての作業は映像の尺が変わらないという前提のもとに行われます。じつはここでMARCYは大きなミスをおかしているんですが、この時はまだ気づいていませんでした。
そして、香港からチャーリーを沖縄に呼んで試写を行う日程も決まりました。この時点で撮影終了から3か月たった2014年の12月。チャーリーは年が明けて2015年の1月に来沖することになりました。
ATFへの出展(シンガポール)
そんな中、沖縄観光コンベンションビューローから「神人~ザンの末裔~」をシンガポールのATFに出展しないかとお誘いがありました。ATFは香港フィルマートに規模は及びませんが、アジア有数のコンテンツマーケットです。
「神人~ザンの末裔~」の海外展開は、チャーリーとの独占的な代理人契約がありますので、特に出展する意味はありませんでした。
しかし、助成金をもらっているビューローさんからのお誘いを無下にするわけにもいかず、またMARCYはシンガポールに行ったことがなかったので、単純に行ったことのないところに行ってみたいという好奇心もあって、出展することを決めたんです。
ATFの会場は、あのマリーナベイサンズに併設されたコンベンションセンターでした。ATFの規模は先述したように、香港フィルマートに及びませんが、会場はこちらの方が素晴らしいと感じましたね。
なにしろ、あのマリーナベイサンズが目の前にあって、マーライオンまでも歩いていける距離です。まあ、ぶっちゃけ言えばチャーリーとの契約もあって、本気で映画を売るつもりはないMARCYは浮かれた観光気分でした。
下の写真はいっしょに行った喜屋武厚子さんと山城さんと撮った記念写真です。マーライオンからマリーナベイサンズを背景に。喜屋武さんはオスカー出身のモデル事務所の社長で、千葉さんを紹介していただいたり、とてもお世話になった方です。
山城さんはロケをサポートする会社の社長さんです。じつはこの二人が沖縄を出発する際にとんでもないトラブルがあって、そのせいでMARCYも初めての怖い体験をしたのですが、それはまた別の機会にお話ししましょう。
MARCYは仕事でもプライベートでも行ったことのないところへ行くのが大好きです。そしてむりやりにでも時間をつくって、神社や古い遺跡を見に行きます。(じつはお寺はあまり行きません、仏様よりも神様の方により興味があるからです)そしてそれは海外でも変わりません。
そんなMARCYにとってシンガポールはとても素敵なところでした。仏教のお寺があって、カトリックの教会もイスラムのモスクもあります。シンガポールは多民族国家なんだとリアルに実感。そしてMARCYにとって一番感激だったのが、初めて見たヒンズー寺院の素晴らしさ!!
キリスト教やイスラム教と違って、ヒンズー教は神道と同じ多神教です。そしてまた普遍宗教となりえなかった民族宗教という点で、仏教とも一線を画します。ヒンズーから仏教に習合された神様はいっぱいいますけどね。
また、この機会をとらえて隣国マレーシアにある、アジア最大の映像制作集積スタジオ「パインウッドスタジオ」も視察しました。そのあまりの規模に度肝を抜かれたのも鮮烈な記憶です。
ATF会場では、シンガポールの大学生が通訳についてくれました。日本語専攻の学生たちは、日本のアニメや音楽が大好きでとてもよく接してくれましたよ。写真は、女子大生の通訳のキムさんです。かわいい娘でしょ。
彼女からは友達リクエストをもらったので、今でもFB友だちです。でもMARCY英語はからきしダメなので、残念ながらコミュニケーションはすぐに途絶えてしまいましたが。
シンガポール滞在を満喫して、沖縄に帰ってきたMARCY。年が明けるといよいよチャーリーがやってきます。この時のMARCYには、これから始まる「神人~ザンの末裔~」の迷走は、想像もできませんでした・・・
MARCYの自分史BLOG第12回「MARCY映画をつくる その5」
うーん、今回で映画をつくる篇を完結させる予定でしたが、とても終わりそうもありません。次回もMARCY映画をつくる その6」としてお届けすることになります。
これもMARCYの文章能力が低いから?いやいやお伝えしたいことがいっぱいあるからだということで、ご容赦ください。それでは今回はこの辺で。
2020年2月14日22時27分、おやすみなさいには少し早いですね。
そういえば今日はバレンタインデーだけどチョコレートもらえなかった・・・
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