MARCYの自分史BLOG第11回 MARCY映画をつくる その4 ついにクランクイン!!テーマ型自分史として

特殊メイクの手 自分史BLOG

テーマ型自分史の手法 その4

こんばんわMARCYです。自分史ブログ第11回も「MARCY映画をつくる」が続きます。その4ですね。このテーマは3回くらいでと考えていましたが、どうやら今回と次回の5回でやっと納まりそうな感じです。

やはりMARCYの自分史の中でもっとも重要なエピソードなので、実際に書き始めてみると、いろいろな想いが鮮烈によみがえって、自然にボリュームもふくらんでしまいました。まあ、でも5回で2万字程度になりますから、テーマ型自分史のサンプルにはなりそうですね。

さて今回のアイキャッチ写真ですが、ちょっと不気味な写真でぎょっとされた方もいるかもしれません。物語の冒頭でヒロインのミナの友人、タケシがあるタブーに触れて海の亡霊に引きずり込まれるシーンです。

実はこれ、手だけを造形した特殊ギミックなんです。いい出来でしょ!!MARCYの映画「神人」は、シナリオの書き手と監督の交代をへて、正式なタイトルは「神人~ザンの末裔~」になりました。

ザンは沖縄の言葉で”人魚”を意味します。ザンの呪いを封じ込めた碑に触れるタブーを犯したタケシが、封印を解かれて姿を現した海の亡霊に引きずり込まれるという設定です。制作費の少ない映画でしたが、このギミックは助監督のこだわりでいい出来になりました。

ザンの碑

上の写真はミナの親友アスカがザンの碑に触れるシーンです。この後タケシが亡霊に引きずりこまれることになります。

余談ですがMARCYは方言という言葉が好きではありません。同時に標準語とという言葉も嫌いです。なぜ東京で使われる言葉が標準でなければならないのかといつも疑問に思っています。

MARCYの母は京都で育ちましたが京都では京都弁が標準語ですし、この間旅行した名古屋では当然、名古屋弁が標準語ですよね。東京の言葉だけが標準語という硬直した考え方には、つねに違和感を感じていました。なので、いつも沖縄の言葉とかうちなあぐちという表現をします。

まあ、いつも物事を斜めから見なければ気がすまないMARCYの、ちょっとガンコな矜持だと思っていただけたらうれしいですね。4回目の今回はいよいよロケ入り(撮影開始)から3週間にわたるロケ期間のエピソードをお話ししたいと思います。

2014年9月5日 いよいよクランクイン(ロケ入り)!!

「神人~ザンの末裔~」のクランクインは当初、2014年の9月1日を予定していました。ところがある大人の事情で急きょ、正式なロケ入りは5日に延期されたことになっています。大人の事情ってなんだと思いますか?

海外コンテンツ支援事業

じつは、沖縄県文化等コンテンツファンドや他のスポンサーからの出資の他に、MARCYには必殺技の予算調達手段がもうひとつありました。それは沖縄観光コンベンションビューロー(以下、OCVBと略す)の助成金だったんです。

当時、OCVBは沖縄の映像コンテンツを海外に広めて、結果として沖縄への観光客誘客をはかる意図で、海外コンテンツ支援事業という名称で助成金を出していました。コンペ方式ですが、海外での映画興行やテレビでの放送を条件に、沖縄ロケの費用の2分の1の助成です。

「神人~ザンの末裔~」は海外公開こそまだ未定でしたが、チャーリーとの海外販売代理人契約書を強力な材料として、書類審査を無事に通過。そして助成が決定する最終プレゼン審査が8月の末までに行われる予定だったのです。

ところが・・・プレゼン審査に携わる審査員全員の日程が空いたのが、なんと9月3日になったしまったのです。じつはこの助成金にはもう一つの条件がありました。審査が終了し助成が決定してからのロケ入りという条件です・・・

おわかりでしょうか?仮に9月1日にロケ入りしてしまったら、助成をうける要件を喪失するということなんです。たしか8月27日だったと思うんですけど、OCVBの担当のUさんが泡食ったようすで電話してきました。

MARCY!!ロケ入りを延期しろ!!

いまさら延期しろといわれてもねえ、もう香盤組んじゃってるし。キャストも沖縄入りしてるし、スケジュール後ろに倒すのもお金かかるしさ、第一キャストの日程が組めるかどうかわかったもんじゃないよ、どうすりゃいいんだい。

と、その時、MARCYに天啓が!!

ロケではなく、ロケハンならOKですか?

担当のUさんもハッとしたように

そうだ!!MARCY!!ロケハンなら何の問題もないよ

だから正式なクランクインは9月5日なんです。9月1日から4日まではあくまでもロケハン。大人の事情。阿吽の呼吸。わかります?カメラは回っていたけど・・・

そして9月3日のプレゼン審査の結果、「神人~ザンの末裔~」は見事、満場一致で採択されました。もちろん、プレゼンはロケハンを抜け出したMARCYがやりましたよ。MARCYプレゼンは得意ですからね。申請通り1,500万円満額を獲得しました。

いやあ、この時はさすがにホッとしました。ようやく制作費に少し余裕ができたんです。もちろん、ファンドやスポンサーの出資で映画は完成するギリギリの積算になってはいました。しかし、宣伝経費や配給に掛かるお金はまた別です。余裕があるに越したことはありません。

香盤表

MARCYは相棒と祝杯をあげましたよ。この時のビールは旨かった!!さてところでさっきから香盤とか香盤表って言葉が出てきてますけど、香盤表の意味わかりますか?これは映画のロケで使うスケジュール表のことです。

えっ、なぜ香盤表って言うの?うーん、なんででしょうね。調べてみました。

香盤表は、演劇(舞台)などの公演で、全体の進行や出演者の出番などを記した進行表のことをいいます。これは、四角い升に線香を立てるための丸い穴が開いた線香を立てる台である「香盤」に由来する用語で、本表が四角い升目になっていて、出演シーンに○をつける様子が「香盤」と似ていることから、その名が付いたと言われています。

一般に香盤表には、出演する俳優全員の役名や出ハケ(登場・退場する場面)の一覧などが書いてあり、どの場面(シーン)で、どの俳優や道具(大道具、小道具)が登場するのかといったことが一目で分かるようになっています。

出典:生活情報サイトx-Memory

じつはMARCYも由来はよく知りませんでしたがこういうことだったんですね。では実際に「神人~ザンの末裔~」で用意された香盤表をご覧ください。

神人香盤

これが2014年9月14日の香盤表です。左上に決とあるのは、決定稿ということですね。この日のスタッフの集合時間は、朝の5時半でシュート(撮影)開始は7時半。そして千葉真一さんをはじめとするこの日撮影の出番のある俳優さんたちのスケジュールが一目でわかります。

千葉さんと香港から来た女優のキャサリン(李元玲)さんには、備考欄にオールアップという文字が見えます。映画の撮影はまだ続きますが、おふたりの撮影はこの日で終わりという意味です。そしてキャサリンさんがオールアップした時の写真がこれ。

キャサリンオールアップ

前列の右端がMARCYです。この日でロケはほぼ2週間続いていて、現場に立ち会い続けたMARCYが異常に日に焼けているのがわかると思います。日に焼けていないのはキャスト(役者さん)で焼けてるのはスタッフだと思ってください。

奇跡のロケ

MARCYじつは、とんでもない晴れ男です。沖縄の9月と言えば台風シーズンの真っただ中です。普通この時期に映画のような長期のロケは避ける傾向があります。

「神人~ザンの末裔」は、二度にわたるリスケ(スケジュールの組みなおし)を行ったため、キャストやスタッフのスケジュールを合わせるために、この時期になってしまいました。ある意味無謀なスケジュールですよね。

でも3週間にわたるロケ期間に、雨が降った日はたったの一日でした。しかも雨天での撮影でも支障のないシーンでしたので、かえって映像の彩になったくらいです。これにはスタッフもキャストもびっくり!!まさに奇跡のロケだったんです。

過酷なロケスケジュール

先ほどご覧いただいた9月14日の香盤は、日の明るいうちに撮影の終わるある意味幸せなロケ日です。もうひとつ9月7日の香盤をご覧ください。

香盤その3

集合は朝の6時で、シュート開始は朝の8時。この日ラストのシュートは夕方7時半に始まって遅くとも10時に終わる予定でした。しかし、終わったのは日付の変わった翌8日の午前2時。なかなか予定通りには進みません。しかも慣れない3D撮影だからなおさらです。

下の写真のカットの撮影には、なんとテイク28(取り直しが28回ということ)を重ねました。

アタビーの家

写真で見るとわからないですが、このカットはレールでカメラが移動しながらの撮影で、わざとお茶をこぼすタイミングがむつかしかったのです。撮影はほぼ毎日深夜に食い込み、しかも翌朝は6時や場合によっては5時集合という場合もあります。

MARCYはプロデューサーですから、必ずしも他のスタッフと同じ時間に集合というわけではありません。それでも疲労はたまります。まして毎日フルで働くスタッフたちの疲労の度合いは大変なものでした。

予算に余裕があれば別ですが、映画の撮影は出来るだけ短期間に終わらせないと際限なくお金が掛かります。ですので無理な香盤を組むことになるんですね。疲労のせいだと思いますが、あってはならない事故が起こりました。

そして事故は起きた

琉球ダイハツさんのご好意で貸していただいた新車のコペンで、スタッフが車を大破する事故を起こしたのです。悪いことに、本社に申告したロケ日以外のイレギュラーな日で、保険が適用されませんでした。

プロデューサーのMARCYと琉球ダイハツ本社が知らないところで、現場のスタッフとダイハツの営業所だけのやりとりで、日程を延長していたんですね。幸いに人身事故ではなかったのですが、コペンの修理代金60万円は制作費からの支出となりました。

本来、映画の出演者であるコペンを機材の運搬用に使用したこともMARCYはあとで知りました。しかし、現場で起きたことはすべてプロデューサーの責任です。MARCYはひとりで琉球ダイハツ本社に出向いて謝罪をし、修理代金をお支払して精いっぱいの誠意を示しました。

様々な困難を何とかクリアしながら、ロケはクランクアップ。過酷な3週間でしたが、MARCYにとってほんとうに貴重な体験になった3週間です。

ドキュメンタリー映画のサブ・プロデューサーの経験はありましたが、自分の映画のロケを最初から最後まで見届けることができたのは、生涯忘れることのできない幸せで貴重な自分史の記録と言えると思います。

ほんとうに過酷な映画のロケの現場ですが、一度経験すると麻薬のような魅力にとりつかれるのも映画のロケだと思います。この時の経験が、のちにフェイクドキュメンタリー自分史映画「MARCY」をつくる動機にもなりました。

長くなりましたが、MARCYの自分史BLOG第11回、「MARCY映画をつくる その4 テーマ型自分史として」はこの辺で終わりです。次回はロケ終了後のポストプロダクションから沖縄国際映画祭に、特別招待作品として招かれるまでをお話しします。

2020年2月11日午後11時46分。それではみなさん、おやすみなさい。

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