2020年1月4日にフジテレビ開局60周年記念として、長岡弘樹著「教場」が、ドラマ化され放送されます。
「教場」は、2013年にミステリーベスト10国内部門で第1位になり、2015年に小学館から文庫化されました。
MARCYは基本的には、自分で買う本はほぼ文庫で(貧乏人です)、「教場」もこの小学館文庫で読みました。
警察小説はけっこう好きな方で、警視庁捜査一課を舞台にした誉田哲也の「姫川玲子」シリーズや、捜査二課を舞台にした相場英雄の「ナンバー」シリーズなどかなり読んでいます。
しかし、警察学校を舞台にした小説は、この「教場」が初めてで他には記憶がありません。「教場」は警察官採用試験をクリアして、配属されるまでの期間(大卒の短期過程で半年)を過ごす警察学校を舞台にした、恐らく初の警察小説だと思います。
主人公はもちろん、警察官を目指す学生たちなのですが、エピソードは短編でつづられ、全編を貫く主役は、むしろ教官の風間公親であるといって良いでしょう。
片目が義眼で白髪が目立つ風間教官は、一見物静かに見えますが、二言目には生徒に、
退校届をいつ書くのか?
と問いかけます。生徒にとってはまさに厳しい鬼教官なのですが、実は様々な事情を抱えながら警察官を目指す生徒たちを、深い愛情をもって冷静にかつ厳しく見つめていることが、エピソードを重ねるごとにわかってきます。
警察学校が舞台なので、もちろん捜査一課が活躍するような華々しい大事件や、捜査二課の出番である汚職や企業犯罪は出てきませんので、物語の展開は静かで地味なものです。
それでも、「教場」が、「教場2」まで含めて40万部を超えるベストセラーになったのは、風間教官やエピソード毎の主人公を務める生徒たちの、人間描写がとても深くて読者に共感と静かな感動を与えるからでしょうね。
フジテレビのドラマでは渋みを増した木村拓哉が風間教官を演じるようですが、ドラマを見る前に、小説を読めば楽しみが増すことは、間違いないでしょう。
年末年始のお休みにご一読をお薦めします。
フジテレビ60周年記念ドラマ「教場」予告編
カテゴリ『ミステリー』他の投稿記事を見る